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野々市町在住で沖縄県立芸術大非常勤講師の向川(むこうがわ)惣一さんが、
レオナルド・ダビンチの有名な絵画「マギの礼拝」について大胆な新説を提唱した。
「黄金比」を体得したダビンチが、五枚の板から成る同画の制作途中に右端の一枚を
左端に付け替えた、という説だ。金沢市広坂一丁目の石川国際交流サロンで
二十二日まで開催中の「向川惣一のレオナルド・ダ・ヴィンチ展」(北國新聞社後援)で
発表した。
向川さんによれば、「マギの礼拝」には中央のマリア像の右目上にキリの穴が
あいている。これが黄金比と呼ばれる比率を作図する際に用いる円の中心と
一致することなどから、ダビンチが現在の構図で同画を描いた時点で
黄金比作図法を知っていたことは明らかという。
一方、同画の制作着手は文献史料などにより、一四八一―八二年と特定されており、
この時期はダビンチが黄金比をまだ知らない時期だという。そこから向川さんは
「ダビンチが黄金比を知った後で大きな構図変更を行ったのではないか」と仮説を立てた。
さらに検証を進めるうちに、現在は左端にある板を右端に持ってくると、画面端に描かれた
不自然に横向きの騎馬上の人物像が、見事に横向きの騎馬に乗る姿となった。
ダビンチは一四九〇年代の「最後の晩餐」で黄金比作図法を体得したとされる。
向川さんの説では、ダビンチは制作途中の「マギの礼拝」でもこれを用いようと思い立った。
マリアの体に作図の焦点を置きたいと考え、マリアが左に偏った古典的な構図を捨て、
板を付け替えてマリアを中央に配置する考えに至った、としている。
向川さんは「レオナルドは得た知識を用いずにはいられない性分だった。
板を付け替える前の『マギの礼拝』を見て、凝り性ぶりや美術研究の躍動感を
体感してほしい」と話している。